NEWS2
自己愛は男性の健康に悪影響をもたらす
自己愛(ナルシシズム)によくみられる過剰な尊大(傲慢)さは、人間関係に有害となる可能性があるが、その人格特性が男性の健康を害する可能性が、新しい研究で示唆されました(「PLoS ONE」2012年1月23日号)。
自己愛は一般に、自己愛の強い人ではなく他者に良くないとみられる人格特性ですが、今回の研究は自己愛者本人の身体にも悪影響を及ぼす可能性があるということを示唆しています。
米ミシガン大学(アナーバー)の今回の研究では、大学生106人を対象に、自己愛の5つの要素を調べる40項目からなる質問票を用いて評価しました。また、ベースライン時のホルモン値を評価するために被験者の唾液のコルチゾール値を2回測定しました。このホルモンは、身体の重要なストレス反応系である視床下部・下垂体・副腎皮質系(HPA)の活性を示します。
自己愛の5つの性格要素のうち、指導性/権威、優越感/高慢さ、自己耽溺/自己賛美という3つは有用または健全と考えられています。研究の結果、コルチゾール値の上昇は不健康な自己愛の要素(権利主張および他者利用)を持つ男性にのみ認められました。
特別な権利主張(entitlement)および不当な他者利用(exploitativeness)という2つの破壊的な自己愛の特性において高スコアを示した男性は、高血圧や心臓障害につながるストレスホルモンであるコルチゾール値が著しく高いという結果が得られました。また、男女とも同程度に自己愛が認められた場合に、女性ではコルチゾールのストレス反応は認められなかったといいます。
自己愛型人格障害がこの日本でも増加しているようですが、これもすべて他者との「共感」能力を欠いたことが原因です。「微小表情分析(マイクロエクスプレッション)」のような他者の気持ちを推し量り、円滑にコミュニケーションをとる能力は、自分の健康を守るためにも必要なスキルになります。今後は世界基準で必須のスキルになるでしょう。